台付形石燈籠
勧修寺石燈籠写し
京都の東郊、山科(やましな)盆地の中程にある勧修寺の江戸時代初期の明正天皇の旧殿を賜わった書院の前庭は、低い生垣で一画を区別し、その背後には平安時代の古い池泉が見える。この書院庭に風変りな石燈籠が据えられ、二つ三つの石を配し、柏槇(びゃくしん)の枝が地をはって広がり、特色のある景観を見せる。
四角型の異形で、平面は長方形である。四角型がこのように変形されたとも、雪見型を長方形にした変形とも見られる。他に類のない独創的な意匠は敬服に値する。一番下に基礎を置き、短い竿は中をくりぬいて軽快感を出す。火袋も背が低く、四方とも大きい火口として障子を入れ、笠は思いきり大きくして、薄い起(むく)り屋根にして軽快さを出し、頂上に小じんまりとした宝珠をのせる。全体に軽快さと、のびやかさがあって、庭燈籠の一傑作である。